最終更新日 2026年9月30日 by hamaliere
最後の一輪が落ちた朝、この鉢をどうしようかと迷ったことはありませんか。
ヨガインストラクターの水無月栞です。
私もスタジオの開業祝いにいただいた一鉢の前で、同じように手が止まりました。
先にお伝えすると、花が落ちても葉と根が元気なら、胡蝶蘭はまた咲きます。
この記事では、残すかどうかの見分け方、花茎を切る位置、二度咲きまでの待ち方を順にお話しします。
読み終えるころには、ハサミを入れる場所が決まっているはずです。
目次
花が落ちても、胡蝶蘭は終わっていません
私が捨てなかった理由は、葉の張りでした
スタジオ「Lotus Heart」を開いて2か月ほどたったころ、お祝いの胡蝶蘭の花が下から順に落ちはじめました。
受付に残ったのは、緑の茎と葉だけになった鉢です。
生徒さんに「もう終わりですね」と声をかけられ、私も片づけるつもりで鉢を持ち上げました。
そのとき指に触れた葉が、思っていたよりずっと硬く、ひんやりと厚かったのです。
花はなくなっても、株そのものは少しも弱っていませんでした。
レッスンを終えた体が、動きを止めたあとも静かに呼吸を続けているのと似ています。
それで、捨てるのをやめました。
残すかどうかは、葉と根で見分けます
花があるかないかより、葉と根の状態のほうが、株の体力を正直に教えてくれます。
私が鉢を持ち上げたときに確かめているのは、次の4つです。
- 葉に張りがあり、垂れ下がっていない
- 葉の色が濃い緑で、黄ばみが広がっていない
- 鉢の上に出ている根がふっくらしていて、干からびていない
- 株元がぐらつかず、黒ずんだり柔らかくなったりしていない
全部がそろっていなくても、張りのある葉が残っていれば、私は育て続けることにしています。
反対に、葉がすべて黄色くしおれ、根も茶色く乾ききっている株は、正直なところ回復がむずかしいと感じます。
ここは私自身の経験からの目安なので、迷う株はまず育ててみて、様子を見てくださいね。
花茎をどこで切るか、2つの選び方
残すと決めたら、次は花茎(花がついていた茎)を切ります。
切る位置は2通りあり、どちらを選ぶかで次に咲く時期が変わります。
二度咲きを狙うなら、下から2〜3節を残す
花茎をよく見ると、ところどころに薄い皮をかぶった小さなふくらみがあります。
これが節で、新しい芽はここから伸びてきます。
NHK出版のみんなの趣味の園芸によると、株が大きくしっかりした葉がある場合は、下から2〜3節を残して切ると、残った節からまた花芽が伸びてくるそうです。
切る時期は、つぼみの半分くらいが咲き終わったころと紹介されています。
花が全部落ちるまで待たなくてよい、というのは私にも意外でした。
残す節の数は、資料によって少し幅があります。
KINCHO園芸は「下から3節目の上」、ハイポネックスは「根元から3〜4節目の約1cm上」という案内でした。
私は下から3節目の1cmほど上に、清潔なハサミを入れています。
株を休ませるなら、つけ根から切る
もうひとつは、花茎をつけ根から切り落とす方法です。
すぐには咲きませんが、株は花に使うはずだった力を葉と根に回せます。
「みんなの趣味の園芸」では、葉の少ない株や、葉が垂れて弱っている株は、つけ根から切って養生させるよう勧めています。
KINCHO園芸の解説にも、1年に2回開花させると株が極端に傷むことがあると書かれていました。
二度咲きは体力のある株だけの楽しみ、と私は受け止めています。
迷ったら、葉の枚数と大きさで決める
判断の目安として分かりやすいのが、JAあいち知多の園芸情報です。
25cmほどの葉が6枚以上ある成株でなければ、二度咲きはさせないほうが無難とされています。
小さな株や根の少ない株は、花後早めに花茎を元から切り取るのがよいそうです。
| 株の状態 | 切る位置 | 次の花の目安 |
|---|---|---|
| 25cmほどの葉が6枚以上あり、張りがある | 下から2〜3節を残す | 順調なら2〜3カ月後 |
| 葉が少ない、垂れている、根が少ない | つけ根から切る | 株が回復したあとの次のシーズン |
| 見ても決めきれない | つけ根から切る | 同上 |
葉の条件を満たしていても、私は季節をもうひとつの判断材料にしています。
節から伸びた芽が育つ2〜3カ月のあいだ、株には暖かさが必要だからです。
秋の終わりに花が終わった鉢で、夜の室温を保つ自信がないときは、大きな株でもつけ根から切って休ませます。
これは資料にある基準ではなく私のやり方ですが、寒い部屋で無理をさせて株を弱らせるより、春を待つほうが結果的に早いと感じています。
実は、私の最初の一鉢は葉が4枚しかありませんでした。
二度咲きはあきらめて、つけ根から切っています。
次の花が咲いたのは翌年の春で、10か月ほど待ちました。
それでも、つぼみがふくらんだ朝のうれしさは、いただいた日より大きかったのを覚えています。
切ったあと、二度咲きまでの待ち方
置き場所は、明るくて暖かい室内に
切ったあとも、置き場所は花が咲いていたときと大きく変えません。
直射日光の当たらない、やや明るめの室内が基本です。
胡蝶蘭は18℃以上のやや暖かい環境を好み、秋から春にかけては最低でも10℃を保つよう、先ほどの資料でも案内されています。
これからの季節に気をつけたいのは、夜の窓辺です。
昼間は心地よくても、日が落ちると窓ガラスの近くは急に冷えこみます。
私は夕方のレッスン前に、鉢を窓から1mほど離した棚へ移すのを日課にしています。
水と肥料は、足すより控える
水やりは、植え込み材がやや乾くのを待ってから、たっぷり与えます。
花がない時期は世話をしている実感が薄く、つい水を足したくなりますが、ここは我慢のしどころです。
肥料は、切った季節によって判断が変わります。
- 春から9月ごろまでに切った場合は、薄めた液体肥料を与える
- 秋以降に切った場合は、肥料を与えない
- 花が咲いている間は、肥料を与えない
JAあいち知多は4〜9月に薄めた液肥を月2回、ハイポネックスは秋以降の施肥は行わないとしています。
今の時期に花が終わった鉢なら、春までは水だけで十分です。
芽が動くまでの2〜3カ月の過ごし方
節を残して切った場合、順調なら2〜3カ月ほどで次の花が楽しめるとされています。
私の2鉢目は6月に切って、節の皮を押し上げるように小さな芽が出たのが7月の終わりでした。
咲いたのは9月で、花の数は最初の半分ほどです。
豪華さはなくても、自分の手で咲かせた花は別格でした。
その間に私がしていたのは「観察はするけれど、いじらない」ことだけです。
ヨガの最後に横たわるシャバーサナ(屍のポーズ)は、何もしない時間に体が回復していくポーズです。
胡蝶蘭の待ち時間もよく似ていて、場所を何度も変えたり、芽を指でつついたりしても、早く咲くわけではありません。
朝いちど眺めて葉の張りを確かめたら、あとは放っておくくらいがちょうどいいと感じています。
芽が出なかったときに考えること
残した花茎が枯れてきたら
節を残しても、芽が動かないまま花茎が黄色や茶色に変わってくることがあります。
そうなったら、枯れた茎をつけ根から切り、株を休ませる方針に切り替えます。
私はこれを失敗とは思っていません。
株のほうが「今は休みたい」と伝えてきた、と受け取っています。
次の花芽は、涼しさが合図になります
つけ根から切った株は、葉を増やしながら次の季節を待ちます。
KINCHO園芸の解説によると、花芽は気温が2〜3℃下がることをきっかけにでき、室温を18℃にするとほぼきれいに出そろうそうです。
一年じゅう暖房のきいた部屋に置いた株がなかなか咲かないのは、この涼しさを感じられていないからかもしれません。
秋に少し涼しい夜を経験させ、冬は10℃を下回らないように守ります。
この加減が、翌年の花につながっていきます。
植え替えをしたい場合は、あわてずに5〜6月の暖かい時期まで待ちましょう。
まとめ
花が落ちた胡蝶蘭を私が捨てなかったのは、葉に触れたとき、まだ生きていると分かったからでした。
残すと決めたあとにすることは、それほど多くありません。
- 葉と根を見て、株の体力を確かめる
- 体力のある株は下から2〜3節を残して切り、二度咲きを待つ
- 葉が少ない株や弱った株は、つけ根から切って休ませる
- 切ったあとは暖かい場所に置き、水と肥料は控えめにする
二度咲きまでの2〜3カ月も、翌年まで待つ10か月も、外から見れば何も起きていない時間です。
けれど鉢の中では、次の花の準備が少しずつ進んでいます。
皆さんの窓辺の一鉢も、どうか急がせずに見守ってあげてください。
緑だけの鉢を眺める朝の時間が、私はけっこう好きです。